お金と心は密接に関係している!
My Career Story 5
単なる保険のプランナーではなく、家計全般を相談していただけるファイナンシャルプランナーとして、お客様の信頼を得られるようになったのは良かったのですが、お客様の悩みを根本から解決できないことに、私は自分の力不足を感じていました。
「どうして解決できないんだろう…」
ふと、自分のことを思い返しました。
ファッションブランドのメーカーに就職した20代のころ、私はそこそこのお給料をもらっていました。でも、お金はぜんぜん貯まりませんでした。
理由は、激務のストレス解消のために、買いたいと思った服をどんどん買い込んでいたから。収入はあっても、たくさん消費に回せば、お金が残るはずはありません。
もしかして、お客様も同じような状況なのではないか、と思いました。
お客様のお話を聞いていると、こんな声がよく出ていました。
「子どもを塾に通わせている。高いけど、みんなやっているし…」
「主人の年収を考えると、これくらいの高級車を買わないと格好がつかない」
この気持ちが、私には痛いほどわかりました。
まわりに合わせようとするあまり、使いたくないお金を使ってしまう。そして貯金できない。
この堂々めぐりが、お客様の心の中で起こっているのではないか…。
私はもう一度、自分が何をしたいのかを見つめ直しました。
合理的なお金の使い方や貯蓄法をご提案することが、私のしたいこと?
収入が増えたのに家計がラクにならない、というお客様のために、私が本当にできることはなに?
頭の中に、あるお客様のことが浮かびました。
その方も、お金が貯まらない、という悩みをお持ちでした。
家計の状況を見ると、原因はすぐに分かりました。
資格取得やさまざまな研修といった自己投資に、お金をかけ過ぎていたのです。
では、なぜ、自己投資にお金をかけていたのか。
そのお客様と何度か話すうち、それが明らかになっていきました。
お客様はあるとき、私にポロッと「自分に自信がない」とこぼされたことがあります。
これが、自己投資に大金をかけた理由の正体でした。
お金の使い方には、本音があらわれます。
お客様は、自信のなさを埋めたくて、自己投資を繰り返していたのです。
こうした方に、いくら「自己投資の費用を切り詰めましょう」とご提案しても、効果はありません。
なぜなら、心が満たされていないからです。
切り詰めたところで、このお客様は幸せにはなれない。それどころか、苦しめてしまう。
本当に解決しなければならないのは、お金の使い方ではない…。
「そうだ。心。心理だ!」
心に目を向けて問題解決をしなければ、お客様を助けられない。
つまり、心理学を学ぶことが、お客様のお金の悩みを解決する近道だと思いました。
ところが、お金と心を結びつけて学べる心理学は、日本にはほとんど広まっていませんでした。
それどころか、お金と心の両方を扱うのはタブーだ、というのが、カウンセリングの世界では一般的な考え方だったのです。
「お金と心は、こんなにも密接に関わっているのに…」
そう思いながらネットで検索しているとき、ある言葉を見つけました。
それが「ファイナンシャルセラピー」。
お金にまつわるさまざまな問題を、心に焦点を当てて解決に導いていく療法でした。
「これだ!」
ファイナンシャルセラピーは、アメリカではすでに効果のある療法として活用されており、カンザス大学には専門の学科まで設置されています。
さらに調べていくと、日本にも、少数ではありますが、ファイナンシャルセラピーに取り組んでいる専門家がいることが分かりました。
ファイナンシャルセラピーを学ぼう。そして、ファイナンシャルセラピーの技術と活用し、心の面からお金の使い方にアプローチしていこう。
心の問題は、そう簡単には解決できない。
だから、相手に寄り添い、じっくりと話し合いながら、解決の糸口を探っていこう。
私の心は決まりました。
「会社を辞めて独立する。そして、私がやりたいファイナンシャルセラピーをベースに、お金の悩みを抱えている人を助ける仕事を、本格的に始めたい!」