子どもの金銭教育の必要性

いま、私が強く感じているのは、子どもたちに対する金銭教育の必要性です。


私のところには、お金と心の問題に悩む方がたくさん相談にいらっしゃいます。

お話をうかがっていると、子どものころから培われた金銭感覚が、その問題の根っこにあることが多いと感じます。

お金を上手に活用し、豊かな人生を送るためには、バランスのとれた金銭感覚を養うことが重要。そのためには、子どものころから、ある程度お金と向き合っておく必要があると思います。


子どもたちを取り巻くお金の環境は、親御さんたちが子どもだった時代とはガラリと変わっています

昔は、お店に行って商品を手にとり、買うか買わないかを決め、レジで現金を支払っていました。


ところが今は、通販サイトやSNSで膨大なデジタル情報を見て、物を見ることなく、電子決済で欲しいものを手に入れています。

どちらが良い悪いということではありません。お金に対する捉え方が、親世代と子ども世代では違う、ということを知っておくことが大切なのです。



つい最近、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。18歳になったら、保護者の許可なく、さまざまな金銭契約ができるようになったのです。

だからこそ、ますます子どものころから金銭感覚を磨いておくことが重要だと痛感しています。トラブルに巻き込まれないためにも、大切なことです。




では、どうやったら子どもたちの金銭感覚を磨くことができるのか。そのポイントをお伝えします。


金銭感覚の育て方ポイント①家族でお金の話をする


子どもにお金の話をするのはタブーだ、と思っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。日本には昔から「お金のことを言うのは卑しいことだ」という清貧の思想があるので、無理もないと思います。

でも、子どもにお金の話をすることは、親としての愛情でもあると思います


私が子どものころ、両親は私たち兄弟にお金の話を一切しませんでした。「子どもはお金の心配をしなくていい。好きなことをしなさい」という気持ちがあったからだと思います。



しかし、大人になって思います。

「両親には、ちゃんとお金の話をしてほしかったな。三人の子どもたちを進学させるのは、とても大変だっただろうに…」と。


日ごろからお金の話を家族でしておけば、子どもたちは、お金に対するネガティブなイメージを持たなくてすむと思います。そして、お金と向き合えるようになります。


そう思い、私はわが子が幼いころから、次のようなことを家庭内で実践しています。



  1. 一緒に買い物に行く=まだお小遣いをあげていない頃は、いっしょに買い物に行き、「いくらまでならお菓子を買っていいよ」と言って、自分でお菓子を選べるようにしていました。こうすることで、限られた予算の中で、自分の欲しいものをどう購入していくかという感覚が身につきます。
  2. 家族でマネー会議を開く=お小遣いをあげるようになってからは、定期的にお小遣いの使い方を振り返る会議をやっています。目的は、自分で自分のお金の使い方に気づき、改善できるようになること。「なんでこんな物を買ったの?」「少しは貯金しなさい」といった指摘をするのが目的ではありません。責めたところで、子どもたちのお金の使い方は変わらないからです。自分で気づくことが重要なのです。



金銭感覚の育て方ポイント②すべてを伝えなくていい


家族でお金のことを話すとき、配慮しておいたほうがよい点があります。

それは、家庭の経済状況を何でもかんでも洗いざらい話すことが良いことではない、という点です。

うちでは、母親である私と、父親である夫の年収は、あえて子どもたちに伝えていません。年収の額で親を評価しないためです。


子どもたちに年収を聞かれた場合、私は、なぜそれを知りたいのかをたずねています。そうやって、お金の価値観について考えてもらう機会になるよう関わっています。


また、塾の先生や家庭教師の先生にいくら払っているかも、あえて伝えていません。それを知ることで、子どもと先生の関係性が変わってしまう可能性があるからです。

子どもたちを不安にさせるような学費の話もしません。学費のことを話題にするのは、あくまで金銭感覚を磨くのが目的。お金の心配をしてもらうためではないことを念頭においています。



金銭感覚の育て方ポイント③実践の場をもつ


お小遣いを使うことは、子どもにとって「小さな家計の実践」です。わが家は、お小遣いの支給の仕方から、子どもたちと話し合って決めています。


例えば、うちの長女には、6年生のころから、ある程度まとまったお小遣いをあげています。長女は、お金があればあっただけ使ってしまう傾向があります。だから、自分で予算を決めて、ほしいものを買う練習ができるようにしています。

彼女は、友達とのお茶代や、自分がほしい文具などをすべてお小遣いで買っています。足りなくなったら、ほしいものを買えなくなるので、自分なりに支出を考えています



親御さんの中には「お金に執着してほしくないので、お小遣いは渡していません」という方がいらっしゃいます。お気持ちはよく分かりますが、結論からいえば、いまからでもお小遣いわたしたほうがいいと思います。

お小遣いによって「小さな家計」を体験し、試行錯誤しておくことで、経験値が積み重なり、自分なりに工夫することができるようになるからです。


逆に、もしもその体験をせず、大人になって初めてお金のやりくりをするようになったら、子どもたちはどうなるでしょうか。きっと苦労するのではないかと思います。

そうならないよう、子どものころから小さな家計で小さな失敗をし、それを学びに変えていく。そのほうが、子どもたちの将来に役立つのではないかと思います。

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